ART BOOK FAIR


01 紀伊國屋書店 札幌本店

札幌市中央区北5条西5丁目7 sapporo55 1F・2F
TEL:011-231-2131
URL:http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Sapporo-Main-Store/

芸術書担当 小山 大樹

近頃の芸術書を見ていると、「どこからどこまでがアートなの?」という疑問が湧いてきます。
SNSで度々バズっている神絵師のイラストは、アートなのか。自分が手帳の隅に書いた下手くそなイラストは、アートなのか。そもそも「作品」じゃなければ、アートではないのか。茶の湯は? 振り付けは? 建築物は?
アートを定義付ける決定的なものとは、一体何なのでしょうか。日常に隠れている数々の見えない「作品」に気付くための、きっかけとなるような本をご紹介できればと思っています。




「アートの入口」にぴったりな本として書店員さんが選んだ本はこちら!日常に隠れている数々の見えない「作品」に気付くための、きっかけとなるような本を紹介してくださっています。



★目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
著者:川内有緒

「目の見えない人が、アートを見る?」と思うかもしれません。生まれつき極度の弱視で、やがて全盲となった白鳥さんは、年に何十回も美術館に通い、写真も撮ります。その目の見えない白鳥さんと美術館鑑賞し、目の前にどんなアート作品があるのか説明することになった川内さん。絵のかかっている向き、縦なのか、横なのか、描かれている人の具体的な表情の説明などにあたふたしながら、どんどんと新しい世界の扉が開き、今まで見えていなかったことが見えてくるように。アートの意味、障害をもつこと、一緒に笑うこと。たくさんのことを考えさせられますが、川内さんのユニークな文章で、とても読みやすい1冊。

この本を読むと、視野が広がって、アート鑑賞するのが面白くなるかもしれません。札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)の「ART STREET」では11月23日までアート作品の展示を行っています。是非新しい視点で鑑賞してみてください!

★ソール・ライターのすべて All about Saul Leiter
著者:ソール・ライター

80歳を超えてから世界的に評価された写真家ソール・ライター。初期のストリートフォトから広告写真、プライベートヌード、ペインディング、アトリエ写真、愛用品などの資料も収録された1冊。日本での展示会も大変話題になりました。

ソール・ライターは浮世絵などの日本美術を愛していました。どこか日本人の美意識と通じるものがあるのはそのためでしょうか。日本無駄なものをそぎ落とした構図のセンスは、写真撮影の参考にもなりそうです。この本の表紙の構図も、特に北海道民なら身近な風景。雪が降ったら、ちょっと真似して撮ってみてはいかがでしょうか。日常の中で気軽にアートを楽しんでみてください!

★陰翳礼賛
著者:谷崎潤一郎 写真:大川裕弘

谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」(いんえいらいさん)の世界観を、「気配を撮る名匠」大川裕弘が撮ったビジュアルブック。美しい文章と、暗がりに潜む美の明暗が素晴らしい写真が掲載されています。写真から伝わる静寂が、心を静めてくれるような1冊。北海道で撮影した写真も収録されています。

★みんなの現代アート
大衆に媚を売る方法、あるいはアートがアートであるために
著者:グレイソン・ペリー 訳:ミヤギフトシ

「良い」アートって何?どう鑑賞すればいいの?アーティストとして生きるには?

イギリスで最も名の知れたアーティストであり、世界各地で個展も開催するロンドン在住のアーティスト、グレイソン・ペリーが、アートを皮肉たっぷりに解説。でもそこには愛情もたっぷり。美術入門書としておすすめのポップな1冊です。



紀伊國屋書店 札幌本店2階はアート関連書籍が充実の品揃え。可愛い動物の写真集だってアート本!芸術の秋は本屋さんのアートコーナーにもぜひ気軽に立ち寄ってみてください。

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