ART BOOK FAIR


03 AOAO SAPPORO

札幌市中央区南2条西3丁目20番地
TEL:011-231-2131
URL:https://aoao-sapporo.blue/

書籍ディレクター 浦上宥海

札幌のみなさま。なじみの書店や温かい図書館がならぶ中に「どうして水族館が?」そうお思いになる方も少なくないのではないでしょうか。今年の夏に狸小路商店街に誕生した水族館「AOAO SAPPORO」には「LIBRARY AQUARIUM / 観察と発見の部屋」というエリアがあります。テーマは「水槽を読む」。43本の水槽の隣には展示生物の色や形、暮らし、学名、人との交わりを手がかりにして選書した本がならび、観察や新しい発見のヒントを得ることができます。鎧や目くらましの役割を担う鱗、無駄のない骨格、瞳はまるで銀河を閉じ込めたかのようです。私には、生物のカラダは生き抜く知恵の詰まったアートのように思えます。札幌のみなさまと、生物の美しさや逞しさを共有し、海を漂うような穏やかな読書時間を当館でお過ごしいただけますように。


札幌の中心部に新たに誕生した水族館「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」がアートブックフェアに初登場です!複合商業施設「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」内の4~6階が水族館になっています。


水族館で本の紹介?と思われるかもしれませんが、5階には生物の特徴や魅力にフォーカスし、図書館のように分類された水槽と本を展示するエリア「LIBRARY AQUARIUM / 観察と発見の部屋」があり、実はたくさんの蔵書がある水族館なのです。「水槽を読む」をテーマに、43本の水槽の隣には展示生物の色や形、暮らし、学名、人との関わりを手がかりにして選書した本が並び、観察や新しい発見のヒントを得ることができますよ。


アートブックフェアのコーナーは、4階の入館チケット窓口手前にあります。


東京・四谷にある魚の専門書店「SAKANA BOOKS(サカナブックス)」の店長をしていた、お名前も「うみ」さんという、魚と本が大好きな書籍ディレクター 浦上宥海(うらかみうみ)さんによる選出です。



★南海の魚類 (荒俣コレクション復刻シリーズ―博物画の至宝)
著者:ギュンター・ギャレット 編者:荒俣 宏


荒俣宏さんが所蔵する、多色刷り石版方式で再編集されたものの復刻版です。400冊だけの限定出版の図譜です。

南太平洋で採集された、美しい色の熱帯性海水魚の博物画が手描きであること、その緻密さにも驚かされる一冊。貴重な本を見ることができる機会に、ぜひ自由にページをめくって南の海の魚たちに出会ってみてください。

★築地考
著者:杉山圭


1935年から2018年まで83年間にわたる歴史に幕を閉じた「築地市場」。建築設計やデザインに携わる著者が7年をかける取材と編集を経て、膨大な写真と考察で築地市場と魚河岸文化を“考える”一冊。

長い歴史を感じる建物や、建築的価値あるデザイン、一般の人が立ち入ることができないエリアの貴重な写真など、都市化が進む東京に残っていた風景などが644点のフィルム写真が掲載されています。また、そこで働く人々の息づかいや、人情味ある表情も印象的。

残念ながら取り壊されてしまった築地市場ですが、日本の台所を支えてきた世界最大級の市場の最後の数年間を追った貴重な記録が詰まっています。

★城崎にかえる
著者:湊かなえ


写真左のカニの足のデザインの細長い本が「城崎にかえる」です

小説家・湊かなえさん書き下ろしの短編小説。喪失感を抱える女性が、母と訪れた城崎の温泉、蟹の思い出をたどります。


カニの足から、身を抜くように本を取り出してみてください。

兵庫県にある城崎町は、温泉や松葉ガニで有名な場所。このユニークな装丁の本は、志賀直哉など多くの文人に愛された城崎温泉を、“文芸の温泉地“としてこれからの100年読まれ続ける新しい本づくりに取り組む出版レーベル「本と温泉」が発行しました。城崎温泉でしか買えない本です!

★ウオヒレウロ子の素敵なウオヒレの世界
著者:ウオヒレウロ子


東京・銀座「すし処志喜」の女将のウオヒレ愛溢れる一冊。捨てるだけのウオヒレの美しさに魅了され、レジン樹脂でコーティングしたコレクションを日々SNSでも発信しています。

アートブックフェアでは、実物のウオヒレコレクションも展示しています。色も形もとても繊細!魚のヒレがアートの入口へ誘ってくれます。

水族館5階の「LIBRARY AQUARIUM」も是非ご覧ください。生物とその見た目や名前から連想する本なども一緒に展示されています。魚や生物たちにも、本にも興味を持てるような展示方法で、なんでこの本が並んでいるんだろう?と考えるのも楽しい展示です。書籍ディレクター浦上さんの遊び心も現れる選書をいくつかご紹介します。

・ケヤリムシの仲間
江戸時代の大名行列に見られる鳥の羽で飾りをつけた長い槍「毛槍」に似ていることから名付けられたそう。確かに似ている!そんな比較ができる本が横に展示されています。



・ウミシダの仲間
時々、腕を翼のように羽ばたかせながら移動することがあるそうです。見れたらラッキー!ということですが、その姿がイメージできるような赤い鳥が描かれた本が展示されています。



・チンアナゴ
チンアナゴの展示横には「いぬ」の本が・・・?!あの犬種が紹介されているから?!そんな疑問からつい本を手に取って見てしまいます。「なんで水族館で犬の本を見ているんだろう」と笑いあい、昔飼っていた犬の話で盛り上がるお客様もいらっしゃいました。



本棚の近くにはイスもあり、北海道に関する本やいろいろなジャンルの本を自由にゆっくり読めるようになっています。


アートブックフェアの展示は11月30日(木)までですが、生物と本の同時展示や本棚は常設で、定期的に企画展やナイトイベントも開催されています。

12月23日(土)19:00・20:00には、「WONDER MUSIC NIGHT」として6階「BLUE ROOM」で、予約不要の無料のPMFクリスマスコンサートも開催されます(要入館料)。幻想的な夜の水族館で、心地よい音楽を楽しんではいかがでしょうか。


ペンギンやクラゲの展示、ネイチャーアクアリウム、デジタルアート、カフェバーなど見どころがたくさんな札幌の新名所「AOAO SAPPORO」。是非水族館でアートを感じてみてください。


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