TGR2019


TGR2019【大賞】選評

今回の大賞審査会で、大賞候補として推薦された作品は、

トランク機械シアター「ねじまきロボットα~ぼくは忍者の夢見丸~」
劇団 風蝕異人街「ギリシャ悲劇 エレクトラ」
COWS「フォーゲット・ミー・ゴッド」
演劇家族スイートホーム「わだちを踏むように」
OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」
メロトゲニ「こぼれた街と、朝の果て。~その偏愛と考察~」
RED KING CRAB「ありあけ」
座・れら「私 ~ミープ・ヒースの物語~」
総合芸術ユニットえん「半神」

の、9作品でした。

これらの作品について協議を行ったところ、栄えある大賞には『RED KING CRAB「ありあけ」』が選ばれました。

本作品は、脚本や演出、演技や舞台セットにいたるまで全てが作り上げられており、誠実で温かく、真っすぐさを感じさせられるものでした。
脚本も凝りすぎたものではなく、直球で投げられたボールを、観客も真正面から受け止められる、シンプルだからこそ人々に届くストーリーだったように思います。

また、丁寧に作られた舞台セットが、劇場に入った瞬間から観客を作品へ惹きこんでゆき、さらには前説などで空気感をきちんと作り上げられ、作品の世界へスムーズに入っていくことが出来るものでした。

陽の光・影の表現や、作品によりそった音楽などが、役者の技量ある演技力と組み合わさることで、素晴らしい効果となっており、その完成度の高さが評価のポイントとなりました。

優秀賞の2作品(演劇家族スイートホーム「わだちを踏むように」、OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」)ですが、審査員それぞれが上位に上げており、大賞とは非常に僅差でした。

〇演劇家族スイートホーム「わだちを踏むように」
丁寧な演出と安定感のあるストーリー展開で、観客を物語にぐっと引き込み、見る人に寄り添った作品づくりがされていました。
「家族」という普遍的なテーマを描いてはいるものの、こういうお芝居がしたいという気持ちがストレートに感じ取ることが出来るものでした。
また、舞台セットや音楽・照明も見事で、時間の移り変わりを視覚的に表現するなど、ストーリー以外の部分でも、細部にわたり丁寧に作り上げられていた点が評価されました。

〇OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」
ブロードウェイの名作を役者2人が身体を張って見事に演じ切ったことが高い評価ポイントにあげられました。
長い上演時間でありながら、観客は役者のパワーで作品に惹き込まれ、時間を忘れてしまうほどの熱のある作品だったように思います。
自分は決してそんなことはしないというごく普通の人の潜在意識をピンポイントで刺激し、虚構のなかで「もしかしたら」「ひょっとしたら自分も」と思わせてしまう、素晴らしい構成と演出でした。原作の魅力を損なうことなく形にしていたと思います。

また、受賞には至りませんでしたが、『メロトゲニ「こぼれた街と、朝の果て。~その偏愛と考察~」』では、クラウドファンディングで中高生を100人招待するなど、演劇の文化を広めようとする姿勢が高い評価を集めました。

札幌劇場連絡会

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