ART STREET


美術展 まなざしのスキップ作品紹介3

札幌市民交流プラザでは、7名のアーティストの作品が展示されていますが、
その中から、SCARTSモールABに作品が展示されている鈴木悠哉さん、石場文子
さん、長谷川裕恭さんの作品を紹介いたします。

◎鈴木悠哉さんの作品
①archegraph
スタイロフォーム、粘土、アクリルガッシュ/2019

②meta-monuments
木材塗料、1350mm×900mm×900mm/2019

③可変文字
ヴィデオHD/ループ/2019

④archegraph
スタイロフォーム、粘土、アクリルガッシュ/2019

大きな立体に、白い不思議な形が描いてあります。丸っこい、人の形を思わせ
るような立体と、ジグザグな、雷のような形をしたオブジェ。これらは一体何
の方体なのでしょうか。実は、人でも雷でもありません。これは、作家が見た
風景の中から切り取った形なのです。
鈴木は、これまでに数多くのドローイング作品を制作してきました。それらの
作品では、街中で見つけた様々な形-たとえば看板の腐食した部分の形や、水
たまりの形など、誰も気にもとめないような形も含まれています。-を、デフォ
ルメして
描いてきました。鈴木の目が切り取った日常のささやかな景色は、抽象的な形
に変換され、見る者に様々な形を想像させます。
今回の展示では、ドローイングからさらに立体やアニメーションへと変換した
作品を展示しています。これらの作品から、あなたはどのような形を想像する
でしょうか。そしてあらためて周りの風景を見返したとき、そこにどのような
形を見つけるでしょうか。

◎石場文子さんの作品
2と3、もしくはそれ以外(祖母-彼女-彼)
インクジェットプリント/2019

ずらりと並んだ写真作品。よく見てください。絵画のように見えてきませんか?
でも、絵画にしてはリアルすぎるし、写真にしては少し変です。ハンドソープも
洗面台も、なぜだかひどく平坦に見えます。目の錯覚でしょうか。
もっとよく見てください。輪郭線が縁取られているものがあります。立体物の写
真の中に、まるで二次元世界が挟まれているような違和感は、このためでしょう。
そしてそれらの端やタオルの隅に、滲んだような部分が見えないでしょうか。そ
う、これは絵画ではなく、現実の写真なのです。黒く縁取られた輪郭線は、写真
の上からではなく、被写体に直接ペンで描かれています。

石破は、資格情報からくる認識の問題について考え、実験し続けています。作品
に写る洗濯ものや台所、ハンドゾープ、お気に入りの布地、これらの写真から、
そこに写っている誰かの気配や関係性を私たちは想像してしまいます。そのとき、
見る人も含め複数の視線が写真の中で交差することになります。作品は、私たち
が目で見ることで認識している世界が、いかに揺らぎやすいものなのかを感じさ
せると同時に、視界情報から様々な気配や物語を想像することのできる豊かさに
ついても、考えさせてくれるようです。

◎長谷川裕恭さんの作品
きみのうた2019
ミクストメディア/2019

床に金色の人物が、横たわっています。この人は、一体誰でしょうか。靴が片方
脱げているようです。何があったのでしょうか。四角く区切られた範囲の中には、
様々な素材を使った作品が配置されています。その多くは、ダンボールや紙など、
身近な素材でできています。
彫刻家として活動を続ける長谷川は、石や木だけでなく、ダンボールや紙、ビニ
ールなど、身近な素材を使って彫刻作品を制作しています。「身近な素材」と言
ってしまうと軽くてたくさん手に入る、扱いやすいようなものを想像しますが、
長谷川の作品は、そのような軽い素材感はあまり感じません。それぞれの作品が、
独特の存在感を放ち、物語をもっています。素材は、作品の存在感と密接に結び
ついているのでしょう。なぜ横たわっているのか、なぜこの素材なのか、そう考
えていくと、さまざまな物語が見えてくるのかもしれません。

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